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バンブルビー通信

独学で英語を習得した勉強法を書いています ときどきドイツ語

ドリヤス工場の「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」を読んだ感想を少々

雑記 雑記-読書記録

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Books!

今日の仕事終わりにふらっとローソンに立ち寄りました。コンビニの商品はそれほど代わり映えがしないですが、置いてある雑誌や本は各店舗によって大きく異なるので、つい雑誌の陳列棚の前を確認してしまいます。

 

僕の近所のローソンは本の品揃えが多く、お気に入りです。そこで雑誌を眺めていると、以前に話題になった本が置いてありました。それは、ドリヤス工場:著の「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」です。

有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。 (torch comics)

有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。 (torch comics)

 

 

 

興味があったのですが、そのうち買おうと思っていたら見かけなくなり、読まずにおいてしまっていた本です。今回は前回の教訓を活かし、購入することにしました。早速家に帰り、お風呂に浸かりながらあっと今に読み終えてしまいました。とても面白かったので、感想を少々書いておきたいと思います。

 

ドリヤス工場とは? 水木しげる先生じゃないの?

恥ずかしながら、僕はこの本をドリヤス工場という人が書いているとは知りませんでした。あまりにも絵柄が水木しげる先生とそっくりだったので、本当に水木先生が書いていたんだと思ってしまいましたね。

 

ドリヤス工場さんは水木しげる先生のパロディ漫画家だそうです。さらに特徴を調べてみると、作風として翻訳という言葉が出てきました。水木しげる先生の漫画の描き方や間の取り方など、そういった作品を構成するすべてを言語として捉えているんだとか。だからこそ、ドリヤス工場さんが描きたいものを「水木しげる先生の作風」に翻訳をして描いているということなんですね。

 

水木キャラをみだりに描いたり、笑いとして世界観を踏み荒らさず、リスペクトとして描いているようです。今回の作品は、もともとリイド社のWebコミックサイト「トーチWeb」に掲載されていた作品と描きおろし作品で、それを集めて単行本として発売されたんですね。

 

有名すぎる収録作品

この本に収録されている有名すぎる文学作品は以下の25作品です。

  1. 太宰治「人間失格」
  2. 中島敦「山月記」
  3. 梶井基次郎「檸檬」
  4. 森鴎外「舞姫」
  5. 坂口安吾「桜の森の満開の下」
  6. フランツ・カフカ「変身」
  7. 宮沢賢治「注文の多い料理店」
  8. 永井荷風「濹東綺譚」
  9. 泉鏡花「高野聖」
  10. 夏目漱石「三四郎」
  11. アンデルセン「雪の女王」
  12. 芥川龍之介「羅生門」
  13. 田山花袋「蒲団」
  14. 幸田露伴「五重塔」
  15. 新美南吉「ごん狐」
  16. 樋口一葉「たけくらべ」
  17. 魯迅「阿Q正伝」
  18. 伊藤左千夫「野菊の墓」
  19. トルストイ「イワンのばか」
  20. エドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」
  21. 菊池寛「恩讐の彼方に」
  22. 二葉亭四迷「浮雲」
  23. グリム童話「ラプンツェル」
  24. 夢野久作「ドグラ・マグラ」
  25. 堀辰雄「風立ちぬ」(単行本描き下ろし)

こちらの25作品には、実際に読んだ本も含まれていました。羅生門なんかは高校時代に授業で習いましたし、野菊の墓も任天堂DSの文学作品集で読んだことがあります。しかし、他の作品は名前だけでどんな内容か知らないものばかりだったので、とても楽しく読むことができました。

 

有名すぎる文学作品を遺した作家たちが凄い

この本を読み、作品自体よりも作家たちの人生が壮絶だなと驚きました。早逝した作家と大往生した作家。生涯独身の作家に愛人多数の作家。病死に入水自殺に服毒自殺などなど、いろいろな作家の人生を一度に垣間見れたことがこの本の最大の収穫だったかもしれません。

 

有名すぎる文学作品で一番記憶に残った作品

せっかくなので、25作品のうち、僕が一番気に入った作品を紹介します。

菊池寛「恩讐の彼方に」

第1位は菊池寛の「恩讐の彼方に」です。主人公の市九郎は、使えていた主人の妾であるお弓を得るため、主人を殺してしまいます。妾とお金を奪った市九郎は、昼は茶店を開き、夜は強盗するという二重生活を送るんですね。しかし、そんな生活やお弓の強欲な性格に嫌気がさし、市九郎は了海として出家します。

 

人を救済するために諸国を回る旅に出た了海は、旅の途中で鎖渡しという難所に辿りつきます。1年で10人が転落死をするような危険な場所で、それは崖沿いを鎖をつたいながら渡らなければなりません。そこで了海は探し求めていた仕事ができると思い、崖にトンネルを掘り始めます。

 

最初は笑って馬鹿にしていた人たちも、了海が1年、2年と掘り進め、18年経った頃には岸壁の半分まで掘り進んだことを知り、了海の手伝いを始めます。それから程なくして、了海が市九郎の時に殺した主人の実子が仇討のために了海のもとにやってきます。

 

了海を切ろうとした時、一緒にトンネルを掘っていた人たちが了海が掘り終えるまでは待ってほしいと嘆願しました。それを承諾し、トンネルを掘り終える様を見届けようとしていた主人の実子は、自ら了海と共に断崖を掘り進めるようになります。そうして了海が掘り始めてから21年後、ついに断崖が通れるようになり、もはや鎖渡しで転落死をする心配がなくなりました。

 

それを受け、約束通り斬られようとする了海ですが、実子は斬らず、泣きながら手を取り合って喜びました。

 

菊池寛の「恩讐の彼方に」が気に入った理由

最初は主人公も悪い人間でしたが、それを悔い改め、人のために働こうとします。そして不可能と思われた断崖にトンネルを開けるという偉業を、21年もかけて達成しました。これはまさに「不可能を可能にする」という、当ブログのコンセプトに一致していたので、本当に感動しました。

 

周りがなんと言おうとも、信じて行動し続けることを教えてくれる作品になっていると思います。10ページの漫画では物足りないので、この作品はぜひ原作を読んでみたいですね。

 

まとめ

ドリヤス工場さんが描いた「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」という作品は、作品の概要を知るためのとっかかりとして、とても良い入門書だと思いました。

 

しかし、やはり10ページの漫画にしているということもあって、詳細や人物の心情などはカットされているところが多いです。これだけバッサリと短く切っていても、話の流れや要点をついた作品になっているのは、ドリヤス工場さんのセンスなんでしょうね。

 

1度に25作品の概要を知ることができ、個人的には大満足な作品でした。第2弾、第3弾が出てくれると嬉しいですね。

 

それでは、また。